自宅でも専門店のようなコーヒーを楽しみたい愛好家にとって、挽きたての香り高いコーヒーを楽しむためのコーヒーミルは、重要なアイテム。手でハンドルを回して挽く手動タイプも魅力的ですが、すぐにおいしいコーヒーができる電動タイプも捨てがたいですよね。
そこで今回は、Y-YACHT STORE &(COOK)のコーヒー好きスタッフが、コーヒーミル選びのポイントを徹底解説します。
コーヒーミルの種類
まずは、基本のコーヒーミルの種類について紹介しましょう。コーヒーミルは、大きく「電動」と「手動」に分けられます。
電動タイプ
スイッチひとつで、自動で豆を挽いてくれるのが電動タイプのコーヒーミル。電動タイプの場合、ミルではなく「グラインダー」と呼ぶこともありますが、意味は同じです。
電動タイプのコーヒーミルは、短時間でさっと挽け、朝の忙しい時間にも手間なくおいしいコーヒーが味わえます。力がいらないので、家族みんなで飲む、数日分をまとめて挽くなど、一度に大量の豆を挽きたい人にも◎。豆の粒度を調節し、均一に挽けるところも電動タイプのコーヒーミルのメリットです。
ただし、電動タイプの場合は電源や電池が必要で、サイズ感も大きめなので置き場所は限定的。音が大きく感じられる場合があり、持ち運びにも不向きな物が多いです。
手動タイプ
手でハンドルを回して挽く、手動タイプのコーヒーミル。挽くのに時間がかかり、一度に挽ける量は限られますが、ゴリゴリという独特の音や、ハンドルを回すたびに立ち上るコーヒーの香りは、アナログな手動タイプならではでしょう。
手動タイプのコーヒーミルは、豆を挽く時間を楽しむ余裕がある人や、一度に挽く量が少ない人に向いています。コンパクトで軽く、電源が不要なので、アウトドアでも使用可能です。
コーヒーミルを選ぶ際のポイント
続いては、コーヒーミル選びのポイントについて、スタッフが独自目線を交えつつ解説します。
サイズ・容量
コーヒーミルによって、一度に挽ける容量は異なります。一人で毎回豆を挽くならどのサイズを購入しても構いませんが、一人でも一度にたくさん飲む場合や、家族の分を一度に挽く場合は、容量の見極めが肝心です。「1回にどれくらい飲むか」「何人分挽くか」によって、最適な容量を見極めてください。
目安として、一般的なコーヒーカップ(120ml)分のコーヒーを飲む場合、最適な豆の量は8~10gとされています。マグカップで飲む場合は倍の量の240ml程と考え、人数分の豆の量を算出して容量を検討するといいでしょう。
粉砕方式
コーヒーミルの豆の粉砕方式は、大きく3つに分類されます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
・プロペラ式
プロペラ式は、プロペラ状の刃が回転し、ぶつかる力でコーヒー豆を粉砕する方式のコーヒーミルです。
粉砕方式別に見ると最も安価で手に取りやすい反面、挽き(粉砕)ムラがあって微粉が多く出るので、雑味が生じやすい、熱が発生しやすく豆の風味が損なわれやすいといったデメリットがあります。また、細挽きはできません。
ただし、本体がコンパクトな点と、硬くなったパンをパン粉にしたり、粉茶やふりかけを作ったりと、別の用途にも使えるのはプロペラ式ならではです。使い勝手と価格のバランスが良く、コーヒー豆を挽く以外の用途でも使いたい人にはおすすめです。
・臼式
プロペラ式の次にお手頃なのが臼式のコーヒーミル。臼式は、上下に設置された平らなディスク状の刃を回転させ、さながら臼で挽くようなイメージでコーヒー豆をすりつぶします。
挽き目を刃の隙間の開け具合で調整するため、均一になるのが特徴です。コニカル式より摩擦熱は生じやすいですが、比較しても味への影響はさほどないといっていいでしょう。ただし、特筆するほどではありませんが、コニカル式に比べて少し微粉が出やすい方式です。
・コニカル式(コーン式)
円錐(コーン)状の刃が2つ回転し、あいだを通過するコーヒー豆を切り刻んでいくコニカル式のコーヒーミル。粉砕方式別では最も高価ですが、その分性能は抜群で、上級者も満足できる粉砕方式といえるでしょう。
ポイントは、プロペラ式、臼式のように豆をつぶさないこと。コーヒー豆の粒度がそろい、摩擦熱や細かいカスが発生しにくいため、雑味が生まれません。
なお、手動コーヒーミルの粉砕方式は、ほとんどがコニカル式です。そのため、「刃の種類」や「清掃のしやすさ」のほか、ミル本体のデザインなどによって選ぶことをおすすめします。
刃の種類
コーヒーミルの刃は、セラミック製と、鉄やステンレスなどの金属製に大別されます。
・セラミック製
硬くて摩耗しにくいセラミック製の刃は、耐久性が抜群。錆びる心配がなく使用後に洗えるので、挽いた豆の残りカスが次の1杯の味に影響することも少ないでしょう。
耐久性は抜群ですが種類は少なく、高性能な金属性の刃のように豆を刻んで挽けるタイプはないようです。
・金属製(鉄・ステンレス)
鋭利に加工しやすい金属は、切れ味の面でセラミックより優れています。一方、耐久性はセラミックより低く、錆びる可能性があり、金属臭が豆に移るなどといわれることもあります。しかし、金属製でもすぐ使えなくなるわけではありませんし、分解して洗った後にすぐ乾かせば問題ありません。
鉄にはさまざまなグレードがあり、価格に質が左右されがちなので、あまりに安価な物は避けたほうが無難です。刃物と同等の材料を使っていれば、金属臭が出ることはないでしょう。こだわりが一番出しやすいのも金属製の刃の特徴です。
均一性
挽いたコーヒー豆の粒度(大きさ)がどれだけそろっているかを指す均一性は、コーヒーの味を左右する重要な指標です。挽き目が細かいと短時間で抽出でき、挽き目が粗いとゆっくりと成分が抽出されます。
いずれの場合も、挽き目にムラがなく、粗いなら粗いなりに、細かいなら細かいなりに粒がそろっていることが重要。挽き目にばらつきがあると、味がまとまらないばかりか、豆の個性もぼんやりしてしまいます。
豆の均一性にこだわるなら、プロペラ式は避けて臼式かコニカル式を選ぶといいでしょう。ちなみに、ドリップで飲むなら均一に挽けるだけで構いませんが、エスプレッソも楽しみたいなら、均一に挽けることはもちろん、細かく挽けるコーヒーミルを選ぶことが大切です。
掃除のしやすさ
コーヒーミルを買ったものの、「お手入れが面倒で結局あまり使っていない」「手入れの仕方が煩雑で、ほとんど掃除していない」という人は多いもの。
お手入れをしないと、古いコーヒー豆のカスが溜まって味の質が低下するほか、目詰まりを起こして故障の原因になることもあるため、デザイン性や機能面に加えてお掃除のしやすさも必ず確認しましょう。
掃除のしやすいコーヒーミルを選ぶ際のチェックポイントは、下記の3つです。
・ホッパーを外した際に豆がこぼれないか
電動ミルの本体から、豆を入れる「ホッパー」と呼ばれるパーツを取り外した際、豆がこぼれない工夫がされていると、挽き具合が不調になった際にいつでも掃除が可能です。
この点では、OXO(オクソー)の「OXO On バリスタブレイン スケール付きグラインダー」が秀逸!電動ミルはホッパーの容量が小さめなことが多く、またホッパーに豆を入れっぱなしにすると酸化しやすいため、こまめに取り外さなければなりません。OXO On バリスタブレイン スケール付きグラインダーなら、ホッパーを外しても豆がこぼれにくく、手軽にコーヒー豆を入れられることはもちろん、手軽にお手入れができます。
・パーツを簡単に取り外せるか
コーヒーミルのパーツが取り外せなかったり、取り外すのが難しかったりすると、お手入れのハードルが上がります。簡単に外せて、さっと汚れが落とせるかどうかをチェックしましょう。
速度
よく、「コーヒー豆はゆっくり一定の速度で挽くことが大切」といわれます。ゆっくり挽くと、豆の粒度がそろって渋みや苦みが出にくくなり、摩擦熱も発生しにくいからです。
手動の場合は、摩擦熱が発生するほどの速度で回すのはむしろ難しいため、粒度をそろえるつもりでのんびり挽けば◎です。
電動の場合、最近は低速でゆっくり挽けるコーヒーミルがトレンドで、最も低速で挽けるカリタの「コーヒーミル ネクストG」を除いては、どれも大きく変わりません。電動で挽く以上、どの機種でも摩擦熱は少なからず発生するため、あまり気にしすぎなくてもいいでしょう。
Y-YACHT STORE &(COOK)がおすすめするコーヒーミル
最後に、Y-YACHT STORE &(COOK)おすすめのコーヒーミルをご紹介します。
ハリオ HARIO スマートG電動ハンディーコーヒーグラインダー EMSG-2B
ハリオのスマートG電動ハンディーコーヒーグラインダーは、通常の手挽きミルとして使うほか、付属する電動グラインダーを取りつけることで電動ミルとしても使える優れ物。
一度にコーヒー2杯分(20g程度)の豆を、手動なら3分、電動なら60秒で挽くことができます。
OXO BREW タイマー式 コーヒーグラインダー
コーヒー豆を挽きたい量に合わせ、ダイヤルを回して秒数を設定する、OXO BREWのタイマー式コーヒーグラインダー。挽き目も入れ方に合わせて選ぶことができ、細かな設定が楽しめます。
周辺に豆が飛び散りやすいタイマー式の中にあって、ほとんど飛び散らないので掃除も簡単です。なお、ミルから容器への通路にコーヒー豆が残りやすいので、たまにしかコーヒー豆を挽かない人の場合、前回の劣化したカスが混ざって雑味が出てしまうことも。頻繁に飲む人におすすめのコーヒーミルです。
カリタ ナイスカットG
カリタのナイスカットGは、ホッパーの容量は50gと大きいですが、1人分からでも利用可能。入れたい分だけ入れられるので、いつでも挽きたてのおいしいコーヒーが味わえます。各パーツの分解が容易で、メンテナンスに手間がかからないのもメリットでしょう。
コレス コーングラインダー C330
コニカル式で、粒度と形状が均質になりやすく、挽きムラが少ない、コレスの最新型のコーヒーミル。低速回転で豆の風味を損ないません。メンテナンス性能にこだわり、古い粉やカスが内部に残りづらい直下型を採用している点も特徴です。
ライフスタイルや好みに合わせて、コーヒーミルを選ぼう
コーヒーミルの世界は、とても深くておもしろいものです。メカニックが好きな人などは、分解したときのワクワク感もたまらないもの。ただ、突き詰めるとコーヒーミルはきりがないものでもあります。
まずは、自分のライフスタイルや好みのコーヒー、コーヒータイムに求めるものなどを考えて、自分に合ったコーヒーミルを探しましょう。毎日使う物なので、収納性やデザイン性なども考えて、お気に入りの一品を見つけてください。