フライパンを長持ちさせるには、どのようなお手入れをするべきでしょうか。フライパンの種類別のお手入れと長持ちさせるポイントのほか、やってはいけないことを紹介します。
正しいお手入れでフライパン長持ち!
基本の使い方とやってはいけないこと
日々の料理に欠かせないフライパン。フライパンは「消耗品」などといわれることもありますが、できれば快適に長く使いたいものです。では、フライパンを長持ちさせるには、どのようなお手入れをすればいいのでしょうか。
、フライパンの種類別にお手入れの方法と、フライパンを長持ちさせるために知っておきたいポイントのほか、やってはいけないことをご紹介します。
フライパンの種類
フライパンには、素材や加工方法によってさまざまな種類があります。中でも代表的なものが、鉄・ステンレス・フッ素樹脂加工・セラミック加工の4種類です。まずは、それぞれの特徴を見てみましょう。
鉄フライパン
鉄のフライパンの大きな特徴は、丈夫さと耐久力です。熱伝導が良く熱への耐性も高いため、高温での調理が可能。長く使えば使うほど油がなじみ、焦げつきにくくなるため、「一生もの」と呼ばれることも。
一方で、適切にお手入れしないとさびやすい、ずっしりとした重さがあり、調理中に腕が疲れてしまうなどの難点もあります。
ステンレスフライパン
ステンレスは丈夫で錆に強い素材です。銀色に輝くスタイリッシュな見た目も魅力のひとつといえるでしょう。熱伝導率が低く熱ムラを起こしやすいものの、一度熱すると冷めにくいため、火が通りにくい食材をじっくり加熱したいときや、余熱調理に適しています。
フッ素樹脂加工のフライパン
フッ素樹脂加工とは、金属でできた本体の表面に、フッ素樹脂でコーティング加工をしたフライパンのことです。本体の金属はさまざまですが、軽くて熱伝導の良いアルミニウムが多く使われています。滑りが良いため食材がくっつきにくく、お手入れも簡単。ただし、表面に傷がついたり、高温で使い続けたりすると、コーティングがはがれやすくなり、食材がくっつきやすくなるなどの弱点があります。
セラミック加工のフライパン
セラミック加工とは、金属でできた本体にセラミックでコーティング加工をしたフライパンを指します。フッ素樹脂加工と同じように扱いやすい上、耐熱温度が比較的高め。また、セラミックによる遠赤外線効果で食材に火が通りやすい点も特徴です。ベースとなる金属は、アルミニウムやステンレスなどさまざま。一度焦げつくと、その後も焦げつきやすくなってしまうので、必ず油を敷いてしっかり予熱した上で使用する必要があります。
フライパンのお手入れの基本
フライパンの寿命は、日々のお手入れによって大きく変わります。例えば、鉄やステンレスのフライパンは大事に使えば一生ものですが、お手入れの方法を誤ると錆や変色、焦げつきなどが起きて、すぐに使えなくなることもあるでしょう。
フッ素樹脂加工やセラミック加工のフライパンは、コーティングの経年劣化が避けられませんが、適切にお手入れすればそのスピードをここからは、フライパンの種類別に、基本のお手入れ方法をご紹介します。
鉄のフライパンのお手入れ方法
鉄のフライパンは、正しくお手入れすれば一生使えるといわれるほど、長持ちするものです。基本のお手入れ手順は下記のとおりです。
<お手入れの手順>
- 油汚れをキッチンペーパーや新聞紙で拭き取る
- お湯か水につける
- 洗剤をつけずにスポンジやタワシで洗う
- すすいでから強火で加熱し、水気を飛ばす
- 薄く油を塗ってなじませる
鉄に限らず、使ったフライパンを洗う前には、キッチンペーパーや新聞紙、布などで油汚れを拭き取っておくといいでしょう。必須ではありませんが、その後の手間がぐっと楽になる上、スポンジなどを余計に汚さずに済みます。
鉄のフライパンを洗うときには、基本的に洗剤は使いません。洗剤を使うと、せっかくなじませた油が落ちて、焦げつきやすくなってしまいます。お湯か水につけてから、スポンジやタワシ、ささら(鉄フライパンや鉄鍋などを洗う道具)などで汚れをこすり落としてください。
また、鉄のフライパンは、洗った後に少しでも水気が残っていると、そこからさびてしまいます。すすいだら強火にかけて、完全に水気を飛ばしてください。最後に薄く油を塗りますが、何度も使って油がなじんでいる場合は、毎回行う必要はありません。収納するときは新聞紙やキッチンペーパーで包んでおくと、錆を予防。窒化鉄など、表面の錆止め加工をされた鉄フライパンの場合は、洗った後にそのまま収納が可能です。
ステンレスのフライパンのお手入れ方法
ステンレスのフライパンは、機能性はもちろん、見た目の美しさもキープしたいものです。汚れが残らないよう、しっかりお手入れしてください。
<お手入れの手順>
- 油汚れをキッチンペーパーや新聞紙で拭き取る
- お湯か水につける
- 食器用洗剤とスポンジで洗う
- すすいでから水気を拭き取る
ステンレスのフライパンは、使った後に食器用洗剤とスポンジでこすり洗いをします。汚れが残ったまま次の調理に使うと焦げついて変色する可能性があるので、しっかりと汚れを落としましょう。その後、水気を拭き取って乾燥させます。自然乾燥でも大きな問題はありませんが、水の跡がシミのように残ることがあるため、ピカピカのきれいな状態をキープしたい場合は、すすいだらすぐに拭くことをおすすめします。
ステンレスは錆に強い素材ですが、ほかの金属製品の錆がついてしまう「もらい錆」には注意が必要です。収納するときは、錆がついた物のそばに置かないようにしてください。
フッ素樹脂加工のフライパンのお手入れ方法
フッ素樹脂加工のフライパンは、お手入れ次第で寿命が大きく変わります。使い勝手のいい物ですから、お手入れ手順をしっかり覚えて長持ちさせましょう。
<お手入れの手順>
- 油汚れをキッチンペーパーや新聞紙で拭き取る
- フライパンが冷めてからお湯か水につける
- 食器用洗剤とスポンジで洗う
- すすいでから乾燥させる
表面がコーティングされたフッ素樹脂加工のフライパンは、傷がつくとそこからコーティングがはがれてしまいます。そのため、金属タワシなどの硬い道具の使用は禁物。洗うときは、食器用洗剤とやわらかいスポンジを使ってください。
しつこい汚れがあるときは、しばらくぬるま湯につけておくと、ふやけて落としやすくなります。洗った後は、自然乾燥でも問題ありません。
セラミック加工のフライパンのお手入れ方法
セラミック加工のフライパンのお手入れは、フッ素樹脂加工のフライパンとほぼ同じ。熱いうちに水につけないこと、表面に傷をつけないことがお手入れの重要なポイントです。
<お手入れの手順>
- 油汚れをキッチンペーパーや新聞紙で拭き取る
- フライパンが冷めてからお湯か水につける
- 食器用洗剤とスポンジで洗う
- すすいでから乾燥させる
セラミック加工のフライパンも、フッ素樹脂加工と同様、表面に傷をつけないように注意が必要です。食器用洗剤とスポンジを使って汚れを落としましょう。
セラミック加工の場合、焦げつきがひどいときは、メラミンスポンジも使用可能。汚れを落とさずに使用すると、その部分からさらに焦げつきますから、頑固な汚れや焦げつきはしっかり落としてください。
フライパンは毎回洗剤で洗ったほうがいい?
フライパンについて、使用後に毎回洗剤で洗うかどうかが議論になることがありますが、鉄以外のフライパンは、使用するたびに毎回食器用洗剤で洗います。洗剤を使わないのは、鉄のフライパンのみと考えてください。
鉄のフライパンは洗剤を使わず、お湯または水だけで洗ってください。これは、洗剤を使うことでせっかくなじんだ油が洗い流され、焦げつきや錆につながるからです。しつこい汚れや焦げつきがあるときは、スチールタワシなどでゴシゴシと削り落としましょう。
どうしても鉄のフライパンに洗剤を使いたい場合は、すすいで水分を飛ばした後に、油を塗ってなじませてください。
フライパンを長持ちさせないNGなお手入れ
誤ったお手入れは、フライパンの劣化を早めてしまう可能性があります。フライパンを長く使うために、やってはいけないNGのお手入れ方法についても知っておきましょう。
熱いうちに水につけるのはNG
フッ素樹脂加工やセラミック加工など、表面が加工されたフライパンは、必ず冷めてから水につけてください。調理後、油の固まらない熱いうちに水につけたくなりますが、急激な温度変化はコーティングの劣化を招きます。
鉄製など硬い調理器具や金属タワシを使うのはNG
鉄のフライパン以外は、硬い調理器具や金属タワシの使用は避けてください。表面に傷がつき、コーティングがはがれやすくなってしまいます。
また、コーティング加工がされていないステンレスのフライパンも、細かい傷がつくと焦げつきやすくなるため注意が必要です。できるだけ、木製やシリコン製の調理器具を使い、やわらかいスポンジを使用しましょう。
クレンザーで洗うのはNG
フライパンを洗うときにクレンザーを使うことは避けましょう。クレンザーなど研磨剤の入った洗剤は、フライパンの表面を傷つける原因になります。
汚れや焦げつきがひどく、どうしてもクレンザーで洗いたい場合は、専用の物を使うようにしてください。
食材を入れっぱなしにするのはNG
作った料理が余ると、ついフライパンに入れたまま放置してしまいがちです。しかし、フライパンに食材を入れっぱなしにすると、食材の油や酸で金属やコーティングが傷んだり、焦げつきやさびつきにつながったりする可能性があります。
特に、鉄のフライパンで食材を放置するのはNG。余った料理は別の容器に入れ替え、使い終わったフライパンは早めに洗いましょう。
空焚きするのはNG
フライパンの空焚きは、変形や変色、コーティングの劣化につながるため厳禁です。調理のための適温に温めることを「予熱」、それ以上の時間、もっと高温になるまで熱することを「空焚き」といいます。
特にIHコンロのは火が見えない分、強火や中火になっているのに気づかなかったり、スイッチを切り忘れてしまったりして空焚きにならないよう、注意が必要です。
正しいお手入れでお気に入りのフライパンを長持ちさせよう
フライパンは、素材や加工の種類によってお手入れの方法が異なります。フライパンは消耗品といわれることがありますが、正しくお手入れすれば快適に長く使うことが可能です。
鉄やステンレスのフライパンなどは、お手入れ次第で一生ものになることも。の必需品ともいえるアイテムだからこそ、適切なお手入れでフライパンをできるだけ長持ちさせましょう。