「鬼おろし」で味が変わる?
食感だけじゃない、無限の楽しみ方。
僕は鬼おろしが好きです。
そもそも、普通の大根おろしと、鬼おろしの違いとは何でしょうか?
普通の大根おろしは目が細かくて、滑らかでふわふわな食感。
鬼おろしは目が荒くて、ザクザクとした食感。
大体そんなイメージです。
“違いが食感だけなら、鬼おろしってわざわざ必要なのか?”
と思うかもしれませんが、実は味にも大きな変化があります。
味の変化を大きく左右するのは、水分の話。
普通に大根おろしをする時を思い出してください。
若干の気合と握力を振り絞り、とりあえず、頑張っておろします。
水が出てシャビシャビな状態なので、ザルにあげて水気を切ります。
もしくは、ちょちょっと摘んで、きゅっと手で絞ったりして、とにかく水気は捨てます。
あまりにもギュッと絞ると大根の風味がなくなってしまうので、絞りすぎないようにする。
当たり前のように捨てている、この水気ですが、実はこれが結構美味いんです。
なんとなく勇気がいりますが、汁を少し味見してみてください。
すりおろすことで辛みも出てきますが、甘みとコクを感じる事ができると思います。消化酵素もあり栄養も豊富です。
本当はこの水気を捨てないように使う事ができれば、
大根の美味しさを余す事なく味わえるのに、どうしたらいいんだろう?
と、そんな時のための「鬼おろし」です。
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日々道具(にちにちどうぐ)
鬼おろしの刃の粗さによって、繊維を壊さずおろすことができるので、
水分が出にくく、みずみずしく甘味のある大根おろしに仕上がります。
すりおろす事で出てくる辛味成分も少なめです。
食感の違いだけかな?と思っていた鬼おろしは、
大根の美味しさを余す事なく味わう為の最適な道具だったというわけです。
そう思うと、いろいろと鬼おろしで試してみたくなります。
おろし蕎麦やおろしうどん。いつもの焼き魚に添える大根おろし。
おろしのあんかけや、ジャコおろしとか。
もちろん、普通にすりおろして、辛みのある大根おろしが合う場合もありますが、いつもと違った味わいを楽しめるはずです。
最近僕がハマっているのが、照り焼き系の料理+大根の鬼おろしです。
例えば、ブリの照り焼きに鬼おろしをドバッとのせると、新しい形のブリ大根が完成します。
中でも、生姜焼きの要領で作る「豚肉の鬼おろし焼き」はかなり理にかなった料理です。先ほど話したように、大根おろしの汁には消化酵素が含まれています。
なので、豚肉を大根のおろし汁に漬けておくと肉が柔らかくなります。
その豚肉を照り焼きにして、上に鬼おろしをたっぷり乗せて食べる。
シャキシャキの歯応えと、大根の甘さ。
お肉もさっぱりと頂ける一品が出来上がります。
鬼おろしの道具自体も、いろいろあります。
竹のもの、ステンレスのもの、プラスチック(樹脂)のもの・・・。
鬼おろしをする時に力はあまり使いませんが、少し勢いが必要です。
ステンレスはちょっと危なっかしいし、プラスチック(樹脂)はすぐ壊れそうな感じがする。
僕が使っているのは「日々道具(にちにちどうぐ) / 鬼おろし 末広」
やっぱり竹は馴染みがいいです。
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日々道具(にちにちどうぐ)
さあ、一緒に「豚肉の鬼おろし焼き」をつくってみましょう。
「豚肉の鬼おろし焼き」
【材料】約2人分
●豚ロース(生姜焼き用):200g ●大根:100g
●サラダ油:適量
「合わせ調味料」
●醤油:大さじ1 ●酒:大さじ1 ●みりん:大さじ1
●砂糖:小さじ1
●大葉:2枚 ●白胡麻:適量
【作り方】
❶鬼おろしで大根をおろし、軽く水気を絞る。
❷残った大根のおろし汁に豚ロースを漬け込み、30分ほど置いておく。
❸熱したフライパンにサラダ油をひいて、豚肉を加える。
❹強火で片面にしっかりと焼き目がついたら、ひっくり返して、合わせ調味料を加え煮詰める。
❺煮詰めている間は豚肉をフライパンから取り出し、とろみがついてきたら、再び戻して煮からめます。
※そうすることで、火が入りすぎず、さらに柔らかく仕上がります。
❻お皿に盛り付け、上に大根おろしを乗せ、刻んだ大葉、ごまをトッピング。
通常の大根おろしと比べて、ボリューム感も出るので、ビジュアルもいいです!
また、鬼おろしの活用方法は、大根だけではありません。
例えば、キャロットケーキに鬼おろしにした人参などを使うと、
水分が保たれているので、焼き上がりがしっとりとします。
新玉ねぎも、食感の残るドレッシングとしても使えます。
鬼おろしが一つあるだけで、料理の幅も広がりますね。
食感だけじゃない鬼おろしの魅力、ぜひ試してみてください。